のあざみ (野薊) 

学名  Cirsium japonicum var. japonicum
日本名  ノアザミ 
科名(日本名)  キク科
  日本語別名  マユバキ(眉刷)、マユツクリ(眉作)、ハナアザミ
漢名  薊(ケイ,jì)、大薊(タイケイ,dàjì)
科名(漢名)  菊(キク,jú)科
  漢語別名  刺薊菜(シケイサイ,cìjìcài)、將軍草、老虎脷、山蘿蔔、刺薊、馬刺薊、千針草
英名  Japanese thistle
2007/04/12 明治薬科大学薬草園

両性花   2008/05/24 東京薬科大学薬草園
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2011/08/01 茅野市北山 2003/08/03 長野県蓼科山 

2008/07/24 長野県霧ケ峰

2008/07/01 小石川植物園

 Cirsium japonicum は、形態的な変異に富み、幾つかの種内分類群があるという。ここでは YList による。(中国のものについては『植物分类学报』22卷(1984)石铸論文があるというが、未見)。

  ノアザミ C. japonicum(var.japonicum, var.maritimum, C.kitagoense,
         C.laciniatum, C.maackii var.vulcani, C.senile;)
    シロバナアザミ f. leucanthum
    カラノアザミ subsp. maackii(var.ussuriense, var.maackii,
         C.maackii;大薊野薊・刺薊菜)『全國中草藥匯編 上』pp.96-97
         
朝鮮・極東ロシア・遼寧・吉林・黑龍江・河北・山東・江蘇・安徽・四川産 
      ホソバカラノアザミ var. nakaianum
      サイシュウトゲアザミ var. spinosissimum(C.mackii var.spinosissimum)
    タカサゴアザミ var. australe
    オニオオノアザミ var. diabolicum(C.diabolicum)
飛騨山脈・頚城山地産
    トゲアザミ var. horridum
四国産
    ミヤマコアザミ var. ibukiense(C.ibukiense)
北陸・近畿北部産
    オキノアザミ var. okiense
隠岐島産
    シロバナタカサゴアザミ var. takaoense
    ケショウアザミ var. vestitum
本州(近畿以西)・四国産
      シロバナケショウアザミ f. arakii
    ビャッコアザミ var. villosum
本州中部産
     
 ノアザミには、「初夏に咲き,平地に多い,花茎があまり分岐しない形と,本州(東北地方と中部地方)の内陸地に分布し,夏から秋に咲く,茎が良く分岐するものの二型が認められる」(「日本のアザミ」)。    
 夏の信州の高原には、ノアザミとノハラアザミがさき揃う。その見分け方は・・・、

  花期: ノアザミは5-8月、ノハラアザミは8-10月。
  花:  ノアザミは枝頂に一花、ノハラアザミはしばしば2-3花が集まって着く。
  総苞: ノアザミは粘つく。ノハラアザミは粘つかない。
  花期の根出葉: ノアザミの根出葉は、有ってもロゼット状にならない。
         ノハラアザミの根出葉は、花期にもロゼット状に残る。
 アザミ属 Cirsium(薊 jì 屬)の植物については、アザミ属を見よ。
 和名アザミ及び漢名薊(ケイ,jì)の語源については、アザミ属の訓を見よ。
 漢名大薊(タイケイ,dàjì)については、アザミ属の誌を見よ。
 ヤユバキ・マユツクリは、花の形を 化粧に用いる眉刷毛に擬えて。
   種としては、北海道・本州・四国・九州・臺灣・福建・浙江・江西・江蘇・山東・河北・内蒙古・陝西・兩湖・兩廣・四川・貴州・雲南・ベトナムに分布。
 var. japonicum は、北海道・本州・四国・九州・臺灣に分布。

 初夏にさく、唯一のアザミ。夏には、丈1-2mに伸長する。
 雌性両全性異株、雌性株は少ない(西日本に多い)。
 中国では、ノアザミなどの全草・根を大薊(タイケイ,dàjì)と呼び薬用にする(〇印は正品)。    『全國中草藥匯編 上』pp.67-69 『(修訂) 中葯志』IV/1-10

   Cirsium chlorolepsis(兩面刺・靑刺薊・滇大薊・白馬刺)
  〇ノアザミ Cirsium japonicum(薊・大薊・將軍草・老虎脷・山蘿蔔)
     カラノアザミ subsp. maackii(C.maackii;大薊・野薊・刺薊菜)
   Cirsium chlorolepsis(兩面刺・靑刺薊・滇大薊・白馬刺)
   Cirsium eriophoreoides(C.bolocephalum;貢山薊・大刺兒菜・藏大薊)
   タカアザミ Cirsium pendulum(煙管薊)
   アレチアザミ Cirium segetum(刺兒菜・小薊・野紅花・大小薊)
   ヤマアザミ Cirsium spicatum(虎薊)
   ヒレアザミ Carduus crispus(飛廉・絲毛飛廉)
   ウナズキヒレアザミ Carduus nutans (飛廉・麝香飛廉) 
   オニヒレアザミ Olgaea lomonossowii(Takeikadzuchia lomonossowii;蝟菊)
   
 日本では、昔から庭に植栽し、また生け花に用い、ハナアザミとも呼ぶ。
 『増補地錦抄』
(1710)は、花の色が白・紅・薄紫・濃い紫などの、また大輪の品種を記載する。
 昭和初期以来、花屋でドイツアザミの名で売られているものはこれであり、ドイツ国とは無関係。

   野薊に触
(さは)れば指(おゆび)やや痛し汐見てあればすこし眼痛し (北原白秋『桐の花』1913)

   どくだみも薊
の花も焼けゐたり人葬所(ひとはふりど)の天(あめ)明けぬれば
     
(斎藤茂吉「死にたまふ母」(1913)より。『赤光』所収) 
 
白花品 f. leucanthum
   2007/05/22 小石川植物園

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